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2006-08-21 Mon 02:20
![]() エリック・ジョンソン(Eric Johnson)はテキサス出身のロックギタリスト。ヴァイオリンの様な美しい音色のギターと、クリスタルヴォイスの持ち主。 彼の音楽スタイルはヴァラエティーというか雑食で、ロック、ブルース、ジャズ、フュージョン、カントリーが混在する。アルバムを通して一貫性が無い、というのが特徴だが、逆に言えばヴァラエティーに富んだ内容のおかげでアルバム通して聴き飽きることがない、という事でもある。 彼の最も際立った個性はギターの音色で、ヴィンテージのストラトとマーシャルの組み合わせで、まるでヴァイオリンのようにスムーズで美しい音を出す。また、機材に関する拘りがとりわけ強く、「エフェクターは電池駆動、それもメーカーはデュラセルのものに限る。」「エフェクターも電気が流れている以上、電波が出てるからボードの上での置く位置にも気をつけないといけない。」などの名言(迷言?)を残している。 エリック・ジョンソンとの最初の出会いは、高校当時通っていたギター教室であった。当時俺のギターの師匠であったF氏が、教材として彼の教則ビデオを見せてくれたのだ。ギター一本によるアドリブでメロディーをつむいでいくデモ演奏だったのだが、その余りに美しい音色と滑らかなプレイに一瞬で夢中になってしまった。大学に入ってすぐフェンダーのストラトを入手したのだが、「あのビデオでエリックが弾いていたストラト」を念頭に探した結果、彼と殆ど同じルックス、仕様のストラトを選び現在まで愛用している笑。 機会を改めて紹介をしようと思うが、カスタムショップ製の54年式のサンバーストストラトを購入したのだった。彼が当時使用していたのは"Virginia"と呼ばれる54年のヴィンテージストラトだったので、当然それに準じたのだ。正確には彼のストラトに最も色や雰囲気が似ていたストラトが54年仕様のものであったのだが。 また、そのカスタムショップのストラトはストックのままではなく幾つか改造を施している。 話は遡るが、件のF氏がビデオを見せてくれた際にエリックのストラトを指差して「指板の照明の照り返しが凄いやろ。これは指板を削って平らにしてあるねん。普通のストラトやったらこんな反射の仕方せえへん。」と言われたのだ。今でこそ彼のシグネチャーモデルも発売され、彼のストラトの指板がフラットである事は周知であるが、この当時それに気づいていたF氏の洞察は随分と時代を先んじたものでなかったか。そんな事が頭にあったので、ストラトを購入後迷うことなくリペアに出し、指板をフラットに削りジャンボフレットに打ち換えてもらったのであった。 かなり脱線してしまった。エリック・ジョンソンの演奏スタイルはクリーントーンにおいてはジミ・ヘンドリックスばりのソウルフルなコード・カッティングとウェス・モンゴメリのようなジャズコード、オクターブ奏法が持ち味。歪んだ音においては複数のペンタトニックを組み合わせたスケールを信じられない程の速さで弾き切る。彼のピッキングは神業と言っていい位の正確さで、全盛期においてはライブを通してミスピッキングが殆ど無かった程である。 彼の代表作として"Ah Via Musicom"が挙げられる。
冒頭の"Cliffs Of Dover"でグラミー賞を受賞。全編を通して彼の美しいボーカルと華麗なギタープレイが冴え渡る名盤。インストと歌ものが半々の割合だが、歌ものの方はAORっぽい印象を受ける。もちろんギターの技巧がこれでもかと散りばめられてるけどね。不思議な事に彼の速弾きは嫌味に感じられない。あまりにスムーズ過ぎて速さを感じないからだろうか。 二枚目のお薦めは幻の1stソロ"Seven Worlds"
77年に録音されたもののお蔵入りになり、98年にやっと発表されたもの。録音当時22歳で既に現在のスタイルが完成されている。この若さでこの才能、嫌になるくらいだ笑。後々まで演奏されるレパートリーの"Zap""Emerald Eyes"もこの当時既に完成していたというのは大きな驚きだった。全体として"Ah Via Musicom"よりもサウンドがシンプルで隙間が多く、ジャズっぽい印象を受けた。当時エリックはElectromagnetsというジャズ・フュージョングループで活動しており、"Seven Worlds"のレコーディングもそのメンバーで行われた為、むべなるかな、という感じか。素朴な感じが気に入って今では"Ah Via Musicom"より好き。 最後は2006年時点での最新作"Bloom"。
まず、"Ah Via Musicom"など過去に一世を風靡した作品と比較すると、まずギタートーンが以前より生々しくファジーなサウンドに変化していることがわかる。 「細かい事に拘るのはもう止めたんだ」とは本人の弁。ギターの演奏技術は残念ながら全盛期に比べて落ちている。このアルバムのツアーに行ったが、全体的に荒いプレイやミスが目立った。しかし、その代わりに歌唱力が大幅に上がっている。円熟味とでも言うべきものが加わっている。このアルバムを通して聴くと彼の志向性が、以前の「インストでのギター弾きまくり中心」から「洗練された歌もの中心」にシフトしていることが分かる。ギターテクニックの衰えがよく指摘されるが、ミュージシャンとしては現在の方がはるかに成熟しており、私は好きだ。何年も暖めてきたライブではお馴染みの曲を多く収録している為、楽曲も粒揃い。「今」のエリックジョンソンを知りたい人には真っ先にお薦めしたい作品。 映像作品のお薦めも挙げたおこう。一つ目は先ほども挙げた教則DVD。
はっきり言って扱っている内容が高度すぎる為、教則には向かないだろう。寧ろこれはエリックのパフォーマンスを楽しむためのDVD。とりわけオープニングのソロ演奏は比類なき美しさだ。 二つ目は最近出たAustin City LimitsのDVD。
まさにエリック・ジョンソン全盛期の演奏。全編通して完璧な演奏が美しい音色で繰り広げられる。エレクトリックギターを完全に自分の支配化においている様は感動的だ。ちなみに同タイトルのCDも発売されているが、ディストーションに何故か曇った様なコーラスがかかっており音質が最悪なので買うべきではない。 |
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2006-08-16 Wed 02:33
![]() リッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)はイギリス出身のハードロック・ギタリスト。黒装束に白いストラトがトレードマークで、伝説のハードロックバンド、ディープパープル、脱退後結成したレインボーと渡り歩いた不世出の名ギタリスト。俺がギターを弾くきっかけとなった最も重要なギタリストだ。 初めてリッチーブラックモアのプレイと接したのは、DEEP PURPLEのライブアルバム"Made In Japan"だった。フェンダーストラトとマーシャルの魅力を生かしきった、激しくも美しい音色に圧倒された。魔術師を思わせる黒装束、過激なステージアクションにもすぐに夢中になった。俺がストラトを弾くようになったのも、無論リッチーの影響だ。 リッチーブラックモアのプレイの最大の魅力は昔ながらのブルース、ロックギターの奏法を基盤にしつつも、更にクラシカルなフレーズやスケールを取り入れたという所だろう。また、速弾きの元祖と呼ばれるスピーディーなプレイも持ち味だ。 しかし、"Highway Star""Smoke On The Water"等の名曲を生んだパープル第二期においては、意外にもクラシカルな速弾きはそれ程多くなく、寧ろ音数を抑えたシンプルなフレーズが多い。その分、引っ掛けるようなピッキングやきめ細かいビブラートによる情緒豊かで丁寧なプレイが耳に付き、高音を抑えた艶やかなストラトの出音とあいまって最も万人受けするプレイだったのがこの時期の特徴だろう。 その後、パープル第三期〜レインボーのロニー期に入るとプレイスタイルがガラッと変わる。パープル第二期まではブルーススケールを基盤としたプレイが中心で、クラシカルなスケールの使用はキメフレーズ以外ではあまり見受けられなかった。しかし、パープル第三期以降はアドリブにおいても東洋的なスケールやクラシカルなアルペジオが見受けられるようになる。加えて、全体にアドリブのスピードがアップし、速くて複雑なプレイが顕著に見られるようになった。リッチーのテクニックが飛躍的に上がったのがこの時期の特徴であろう。これ以降、リッチーのプレイは段々と荒く弾き散らかすようなものになってしまうので、智勇の均衡が最も取れプレイ的にも全盛期と言えるのがこの時期、特にレインボーの"On Stage"〜"Long Live Rock'n'Roll"を発表した時期だと思っている。この時期のストラトの出音は以前に比べて若干シャープさを増した音質になっている。あくまで推測だが、パープル第二期で愛用していた黒やサンバーストのストラトを盗難もしくは破壊によって失い、代わりに手に入れた新しいストラトをそのまま使った為、幾分甲高い音質になったと考えられるが、音の細さがかえって魔術的な響きで良い効果をもたらしていると思う。 レインボーがポップ路線に進んだグラハム期においても、少しラフになったもののリッチーのプレイは未だ情緒的で素晴らしいものだった。この頃、ストラトのピックアップをフェンダーのオリジナルからシェクターのより太い音の出るものに変更しており、アルバム"Down To Earth"内の"Eyes Of The World""Lost In Hollywood"ではこれぞブラックモア!という美しいソロが聴ける。太くて美しい音色、クラシカルで咽び泣くようなプレイ、どちらも最高だ。 レインボーのジョー期〜再結成パープルにおいて、プレイはますますスピードアップし、同時に荒くなった。この時期のプレイの特徴はとにかくとめどない速弾きで、スケールもクロマチックを中心としたものを弾き流したり、スウィープを連発、開放弦鳴らしまくり、ともうコピー不可能なくらい複雑で彼独特のものだ。レインボーのラストアルバム"Bent Out Of Shape"、パープルの再結成アルバム"Perfect Strangers"はリッチー史上最もギター弾きまくりのアルバムと言えるだろう。リッチー独自の個性が強く出たのがこの時期である。しかし、ライブにおいてはコージー・パウエルが脱退してやる気を失ったのか、アクション、パフォーマンスに走るようになり、プレイの質はあからさまに落ちる。音質もザラザラとした荒いものになり、ノイジーなプレイが目立つようになった。正直この時期のライブでのプレイは酷いもので、ファンの評判も悪いようだ。 しかし、再結成パープル"Slaves And Masters"〜再結成レインボー"Stranger In Us All"期になると、何故かプレイに丁寧さが戻り、それまでのスピーディーで複雑なラインはそのままに、荒さやノイズが消え別人のように美しいプレイになった。この時期のブラックモアのプレイスタイルの変化の理由は不明だが、一説によるとプレイが露骨に荒くなったのは、指の神経を痛めていたからという可能性があるらしい。 特に再結成レインボーにおいては、アンプをそれまでのマーシャルからENGLに変え、更に美しい音色になった。俺がリッチーブラックモアの中で最も好きなのが、この再結成レインボー以降のプレイである。この時期のプレイの特徴は、とにかく速い。開放弦や左手のレガートを駆使して長いラインを一気に弾き切る。小節を無視するかのように音符を詰め込む強引さが最高に格好いい。独特のモタリ気味のタメも相まって、既に悟りの域に入っているようだ。 よくリッチーの奏法の進化系としてイングヴェイを挙げる人が多いが、それは間違っていると思う。確かにスウィープ奏法などはリッチーが少しやっていたものをイングヴェイが大技として完成させたと言えるだろう。しかし、リッチーとイングヴェイでは速弾きの方法論がまるで違っている。イングヴェイが右手のピッキング中心で一音一音弾いていくのに対して、リッチーは殆どピッキングしない。左手のレガートで適当に弾き流していく。右手は添えてたまにピッキングするだけ。それによって例の独特のタメや荒々しいノイズを生じ、彼の味になっているわけだ。 さて、リッチーブラックモアの長いキャリアの中でまず何を聴くべきか、お薦めのアルバムを考えてみた。まず、ロック好きなら誰にでも薦められるのがパープルの最高傑作"Made In Japan"だろう。
ブラックモアのプレイ、音色ともにロックギターのお手本と言える素晴らしいものだ。しかし、このアルバムはブラックモアが中世志向、クラシカル志向に目覚める前のものなので、本当のブラックモアの魅力を知る為には更に後期の作品に触れる必要がある。 俺の一番のお気に入りはレインボーグラハム期の4th"Down To Earth"。
ポップさと様式美を兼ね備えた名盤でレインボーの中で取っ付き易さは一番なので特にお薦め。その中でも"Eyes Of The World""Lost In Hollywood"はブラックモアの様式美を過不足無く著した名曲である。どちらの曲にもカデンツァがあり、ブラックモアのプレイを存分に味わえる。 ブラックモア流の様式美を最も味わえるのはレインボーの3rd"Long Live Rock'n'Roll"だろう。
特に"Gates Of Babylon"はレッドツェッペリンの"Stairway To Heaven"にも比肩し得る大作である。ただ、大仰な楽曲が多く聴き疲れするので他のポップなアルバムで慣れてから臨んだ方がいいかも。 俺のお薦めは以上の三枚。 最後に番外として再結成レインボーの"Stranger In Us All"を挙げておく。
まずこのジャケットが最高に格好いい。パープルでのゴタゴタ脱退劇を経た後、まさにブラックモア復活!という感じで。バンドメンバーにリッチー以外に名手がおらず、リッチーのワンマンバンドと取られがちな再結成レインボー。実際その通りで、リッチーのギター以外にプレイの聴き所はないのだが、ワンマンな分リッチーの作曲センスがいかんなく発揮されており、"Black Masquarade""Hall Of The Mountain King"など彼のキャリアの中で理想的といえる楽曲が揃っている。このアルバムは目下のところ彼の最後のハードロック作品なので、パープル、レインボーの諸作を味わった後、最後に聴けばより一層感傷的になって楽しめると思う。 映像作品は何といっても先日出たレインボーの"Live In Munich"がお薦め!
ブラックモア全盛期のプレイが聴ける。コージーパウエルのドラムソロも完全収録で、この様な素晴らしいライブが映像として残されていた事はまさしく奇跡だ。 現在はフィアンセのキャンディスナイトをヴォーカルに据えたブラックモアズナイトで活動中だが、それについても少し触れておく。1stのShadow of the Moon / Blackmore's Nightは名作である。ルネッサンスをテーマにうたっている本バンドだが、1stではルネッサンス風味はあまり強くなく、楽曲はレインボー的でそれをアコースティックでやったという感じ。タイトル曲"Shadow Of The Moon"は間違いなく歴史に残る名曲。 2nd以降は、アルバムは全て持っているがどれも曲数が多い上、激しい曲が少ないため、アルバム通して聴く気がしない。何よりも、エレクトリックギターが使われている割合が少ないのが大変寂しい。アコースティックギターによるプレイも勿論素晴らしいのだが、やはり歌の裏に回るという印象が強く、ソロにおいては派手さに欠けると思う。そして、肝心のキャンディスナイトの歌について。彼女のファンの方には申し訳ないが、彼女の歌い方はあまり好みでない。1stにおけるヴォーカルは癖がなく美しい歌声で大変気に入ったのだが、2nd以降、癖がついて来たと共に若干音程がルーズな歌い方をする様になり、俺の好みからは離れてしまった。正直、彼女があれ程の美人でなかったら雑誌などで「歌姫」などと祭り上げられていただろうか? と、以上のような感想をブラックモアズナイトに持っていたのだが、先日出た最新作The Village Lanterne / Ritchie Blackmoreを聴いて少し考えが変わりつつある。まず、依然とくらべてリッチーがエレクトリックギターを多く弾くようになり往年のプレイが甦っている。また、キャンディスの歌も以前より音程が正確になり幾分心地よくなっていた。何より嬉しいのが以前よりもハードな曲が何曲も含まれていた事で、アルバムを通して楽しめるようになっていた事だ。特に"St.Teresa"は往年のハードロック再び!という感じで身震いがした。 ブラックモアズナイトの今後に注目していこうと思う。 |
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