冒頭の"Cliffs Of Dover"でグラミー賞を受賞。全編を通して彼の美しいボーカルと華麗なギタープレイが冴え渡る名盤。インストと歌ものが半々の割合だが、歌ものの方はAORっぽい印象を受ける。もちろんギターの技巧がこれでもかと散りばめられてるけどね。不思議な事に彼の速弾きは嫌味に感じられない。あまりにスムーズ過ぎて速さを感じないからだろうか。
77年に録音されたもののお蔵入りになり、98年にやっと発表されたもの。録音当時22歳で既に現在のスタイルが完成されている。この若さでこの才能、嫌になるくらいだ笑。後々まで演奏されるレパートリーの"Zap""Emerald Eyes"もこの当時既に完成していたというのは大きな驚きだった。全体として"Ah Via Musicom"よりもサウンドがシンプルで隙間が多く、ジャズっぽい印象を受けた。当時エリックはElectromagnetsというジャズ・フュージョングループで活動しており、"Seven Worlds"のレコーディングもそのメンバーで行われた為、むべなるかな、という感じか。素朴な感じが気に入って今では"Ah Via Musicom"より好き。
最後は2006年時点での最新作"Bloom"。
Bloom Eric Johnson (2005/06/14) Favored Nations Entertainment この商品の詳細を見る
まず、"Ah Via Musicom"など過去に一世を風靡した作品と比較すると、まずギタートーンが以前より生々しくファジーなサウンドに変化していることがわかる。 「細かい事に拘るのはもう止めたんだ」とは本人の弁。ギターの演奏技術は残念ながら全盛期に比べて落ちている。このアルバムのツアーに行ったが、全体的に荒いプレイやミスが目立った。しかし、その代わりに歌唱力が大幅に上がっている。円熟味とでも言うべきものが加わっている。このアルバムを通して聴くと彼の志向性が、以前の「インストでのギター弾きまくり中心」から「洗練された歌もの中心」にシフトしていることが分かる。ギターテクニックの衰えがよく指摘されるが、ミュージシャンとしては現在の方がはるかに成熟しており、私は好きだ。何年も暖めてきたライブではお馴染みの曲を多く収録している為、楽曲も粒揃い。「今」のエリックジョンソンを知りたい人には真っ先にお薦めしたい作品。